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高畑耕治
高畑耕治

2012年07月01日

詩の形をさがし、詩の形で生まれる。

 この数日私は楽しい読書をしました。ドイツの詩についての本ですが、詩の移り変わりを考察に、個性的な詩人たちの詩が織り交ぜられ引用されているので、詩が好きな私にとっては楽しい時間でした。 
 以前、海外の詩を一連のエッセイでみつめた際、ドイツ詩については次のように記しました。

ドイツの定型詩と自由韻律。詩人・吉川千穂さんの論文。」(クリックでお読み頂けます)。
 
 そのとき最後に読みたいと書いた本です。『詩とリズム――ドイツ近代韻律論――』(ゲールハルト・シュトルツ/坂田正治 訳1978年、九州大学出版会)。

 今回は、掘り下げた考察や原典の引用はせずに、私がこの本を読みながら感じ思ったエッセンスだけ、
(自分のための覚え書きの意味合いもあって)書きとめておきます。

1.詩は、言葉の音、リズムによる芸術
・ドイツの詩(西欧詩)は表音文字による表現だから、言葉の音、リズムを注視する度合いが強い。
・アルファベットの文字は音を示す記号で、その形そのものが意味やイメージを伝えない。
・表音文字で表現できる形・姿は、文字と詩語と詩句の並び方、詩行の長さ、行数、行間、詩節の数など、すべて表形文字でも表現できる。
・教会音楽、賛美歌、民謡、歌。音楽、歌詞と朗読、語る詩、詩は相互影響しながら並存してきた。

2.言葉の音、リズムによる詩形、定型、自由律・強弱、長短、抑揚(上昇と下降)、間(休止)、(詩行の)またぎ、押韻・無韻、繰り返し(リフレイン)。
・音による定型は、長大な叙事詩の背骨とも成りうる、形がないなら散文でしかない。
・散文と詩・韻文それぞれに優勢な時代はありつつも相互影響しながら並存してきた。
・自由律は定型でできない表現を探し見つける希求から生まれつつ相互影響しながら並存してきた。
・定型は変化し新しい定型が生まれ、はみでる新しい自由律が生まれる。
・定型は変化しても型を模倣できるが、自由律には繰り返すことができず、一度かぎり。
・その境界はあいまい、定型性があっても優れた作品ほど、その音楽は一度かぎり。

3.詩想にふさわしい詩の形をさがす、詩の形で生まれる。
・詩人はさまざまな詩形(言葉の姿、言葉の音)で表現を模索し、表現に挑み、変形し、これまでなかった独自の形を見つけ生み出す。
・詩が個人のように一度限りの顔で生まれ出る。
・詩人にふさわしい、詩人のその時にふさわしい、詩形との出会いがある。
・クロプシュタットから受け継いだもの、ヘルダーリンはオーデ、ゲーテは賛歌、ゲーテは民謡からも。

4.言語の相互影響と個性・さまざまな時代と地域の詩は影響しあってきた。西欧詩では、ギリシャ、ローマ、イタリア、フランス、スペイン、イギリス、ペルシャ・アラビア、国境なく。
・ドイツ語はアクセントの強弱で詩の(音の)形が作られる。ギリシャ古代語、イタリア語の、音節の長短と違うが、置き換え同等とみなすことで詩形、表現方法を吸収した。
・話している言葉で、聞きとれる音がちがう。***な詩形は、ドイツ語を話す人間には***のように聞こえる、聞こえない。
・イタリア語に比べて、***が弱い。***という表現ができない、でも、だから、詩人はドイツ語で***という表現方法を生み出した。このような記述がでるたび強く共感する。
・短所は長所でもある。創作で大切なのは、その個性をよく知ること。

 詩の草原を気ままに散歩しているとここから分かれ道です。
学術的により徹底して調べ分析し考える山道への標識もあります。登山して初めて見つかる眺望は素晴らしいと思います。
もうひとつの詩の海辺へ向かう道を私の足は選びました。いつも詩の潮騒につつまれ心を豊かにし、新しい作品を生みたいと願い歩いています 。

☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2100円(消費税込)です。

 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩のコラボをぜひご覧ください。

    こだまのこだま 動画
  
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    Posted by 高畑耕治 at 08:00 │