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高畑耕治
高畑耕治

2012年05月29日

『こころうたこころ絵ほん』評。詩ってほんとはなんだろ?(八)

 標題のテーマ「詩って、ほんとはなんだろ?」について、個性的な詩集の作品を通して考えてきました。今回は詩人の小川英晴さんが『詩と思想』2012年6月号の詩集評で、私の詩集『こころうた こころ絵ほん』を批評してくださいました。紹介させて頂くと同時に、私の詩想を確かめたいと思います。

☆ 小川英晴さん批評
 「愛の光に満たされた詩とでも言ったらいいだろうか。無垢な心が無防備なままに歌われている。それゆえ読んでいるとちょっと自分が恥ずかしくなる。私はこうはうたえないなという思いが浮かぶ。しかし、この世界を歌いあげることが高畑耕治の魅力なのだろう。現代詩というよりはどこか児童詩を感じさせる世界ではあるが、こういう詩もこの時代にあっていいと思う。ただし、酔いしれるだけではなく、もう一つ内省した切り口が欲しくなる。一行一行の切りつめ方も少々弱い。気持ちよく歌い過ぎてしまっているのだ。それに作品をもっと厳しく選んで掲載してほしい。」


 小川さんの4月号からの『詩と思想』の詩集評は、現在の詩のあり方についての、真剣な問いかけに満ちています。紙面の約半分をその根本的な問いと考察に費やされていることからもそのことを強く感じます。そのうえでの個別の詩集についての批評は、全国詩誌の書評欄としては、妥協を排した、厳しい投げかけが多く見受けられます。

  6月号に書いていらっしゃる現代詩や荒川洋治に対する評価、考え方は私と大きく異なっています。そのこともあり、正直なところ現代詩の本流から遠くに対極にいる、私の今回の詩集『こころうた こころ絵ほん』は、詩集評にとりあげていただけないかなとも思っていました。ですから、対象として頂けたこと、「こういう詩もこの時代にあっていいと思う。」とのお言葉を、とても嬉しく感じました。

 ご指摘も詩に対するお考えからの一貫した率直な批評ですので、嬉しく感じました。そのうえで、私の感想を少しだけ付記します。

① 「酔いしれる」こと、「歌い過ぎ」について。
 私は今の詩が「醒め過ぎている」こと、「歌えず歌わない」ことは、詩歌を大きくとらえたとき、良くない貧しい方向に偏りすぎたと感じてきました。ですからこの本で私は敢えて強く意図してセンチメンタルであり、「酔いしれ」「歌い過ぎて」います。

② 「内省した切り口」の不足について。
 歌は内省と逆の関係にあるので、どちらを選んだかということだと思います。現在ある詩は、考える詩、知で構築した詩ばかりなので、内省した切り口は抑え、感情豊かであることを私は選びました。

③ 「一行一行の切りつめ方」の弱さについて。
 説明する言葉を極力捨て行間で語る、読者を突き放す詩が、詩人好みであり現在の詩の大勢をしめていますが、私は言葉を必要以上に切りつめずにまず意味を伝えることを選びました。
 この方法だと詩行が散文化してしまう弱点もありますが、言葉の音楽性を最大限に生かすことで、決して散文ではない詩歌でありたいと意図して創っています。

④ 「作品を厳しく選ぶこと」について。
 私は、読者にとっての「良い作品」は読者ひとりひとりの、その時の心のあり方によってまったく変わるものなので、作者自身が自分で好きだと言い切れる作品なら、厳しく選ばない方が良いと考えています。
 たとえ99人の優れた詩人の方々がこんな作品は詩じゃないとおっしゃっても、詩を普段あまり読まない1人の方は逆にその詩が好きと感じてくださることが必ずあると、経験を通して知っています。
 詩人に好まれる詩集としての統一性よりも、その1人の方との出会いが私にとっては大切です。

 この本に収録したどの作品をどなたが好きと感じてくださるかはまったくわかりませんが、この詩集のどの詩についても「この詩が私はいちばん好き」とおっしゃってくださる方が必ずいる、だから伝えたい、これが私の信念です。

☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2100円(消費税込)です。

 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩のコラボをぜひご覧ください。

    こだまのこだま 動画
  
 ☆ 多こちらの多摩の本屋さん店頭に咲かせてくださっています。
 リブロ吉祥寺店、紀伊国屋書店吉祥寺東急店、オリオン書房ノルテ店、オリオン書房ルミネ店、丸善多摩センター店、くまざわ書店桜ケ丘店、有隣堂新百合ヶ丘エルミロード店など。
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    発売案内『こころうた こころ絵ほん』
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    詩集 こころうた こころ絵ほん




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    Posted by 高畑耕治 at 20:42 │