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高畑耕治
高畑耕治

2023年03月09日

深井克美の絵『オリオン』、太宰治『斜陽』 

エゴン・シーレは痛い。ランポーに似て、非情、他者にも過酷。
シーレを教わった坂崎乙郎から手渡されたもう一つの真珠は、
深井克美。
彼の絵「オリオン」を私は第一詩集『死と生の交わり』に一葉としたかった。今も絵のコピーをずっと自宅の詩集に挟んでいます。
純粋魂。
そばの人を傷つけずにいられないけれども、そのようにしか生きられない人の魂の。

深井克美は自分とともに、生んでくださった、母の心まで殺すこと、愛してくれる人の、あいするひとの、心を刺し殺すこと。してしまわずには生きられなかったので、ほんとうに悲しい。
どうしようもなかったと思うけれども、してはいけなかった、してはならないこと、だとわたしは思います。

太宰治は『斜陽』で、登場人物の直治の言葉にして、「母が生きている限りは自殺しない、母を殺すことだから」と(いう意味の)言葉を書いていて、私はこの言葉で、これまで耐え、踏みとどまりました。今もこの言葉は、人の心として、ほんとうだと、思っています。

芸術、創作の一言、一表現は、人の一生を変えるほどに、人の、心に、深く刺さり響きつづけることができると、一読者としての体験からわたしは、知っています。

芸術、創作の一言、一表現と響きあうことが、人にはできると感じとれた、つよい感動は、死と抗いうる、生きることそのもの、生命の糧。




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    Posted by 高畑耕治 at 17:15 │エッセイ